膝が痛くて整形外科を受診したところ、「レントゲンでは軽い変形ですね」「大きな異常はありません」と説明された。それなのに、階段を下りると痛い、椅子から立ち上がるのがつらい、買い物に出かけるのも不安……。
「軽いと言われたのに、どうしてこんなに痛いのだろう?」「このまま我慢していても大丈夫なの?」と、医師から受けた説明と、ご自身が感じている痛みの間に疑問を持っている方もいらっしゃると思います。
レントゲンで見られる変形などの程度と、実際に感じる膝の痛みの強さは、必ずしも一致しません。画像の変化が軽度だからといって、日常生活で感じている痛みまで軽いとは限らないのです。
ただし、画像で大きな異常が見つからなかったからといって、痛みの原因が筋肉や姿勢にあると決まるわけでもありません。画像に写る構造の変化と、実際の痛みや生活上の困りごとを合わせて考えることが大切です。
この記事では、レントゲンで分かることと分からないこと、再診までに記録しておきたい症状、医師への伝え方、医療機関へ再相談する目安について解説します。また、必要な医学的評価を受けた後に、当院でどのように膝や身体全体の負担を考え、整体・運動につなげていくのかもお伝えします。
レントゲンで「軽い」と言われても、膝の痛みが強いことはある?
はい、あります。レントゲンは膝関節の構造を調べる重要な検査ですが、画像に写った変化の程度だけで、痛みの強さや日常生活への影響を正確に測ることはできません。
レントゲンで分かるのは主に骨と関節の構造変化
膝のレントゲンでは、骨の形や並び方、関節の隙間の狭さ、骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨の出っ張りなどを調べます。
変形性膝関節症では、こうした画像所見が診断の参考になります。例えば、関節の隙間が狭くなっている場合は、関節軟骨の減少などが考えられます。ただし、軟骨そのものが通常のレントゲンに直接写っているわけではありません。
また、レントゲンでは半月板や靱帯などの軟部組織を詳しく見ることは難しく、診察の結果によってはMRIなどの検査が検討される場合もあります。
しかし、レントゲンで見えにくい組織があるからといって、必ずそこに痛みの原因があるとは限りません。画像の結果だけでなく、実際の症状や診察所見も合わせて判断する必要があります。
画像では痛みの強さや生活への影響を測れない
画像で変形が見つかっても、それほど痛みを感じずに生活している方がいる一方、画像上の変化が比較的軽くても、立ち上がりや歩行などで強い痛みを感じる方もいます。
2025年に発表された変形性膝関節症に関する研究でも、一般的なレントゲンやMRIの構造的な特徴から、患者さん一人ひとりの痛みや症状を予測する精度には限界があることが報告されています。
つまり、画像検査で分かることと、患者さんご自身が感じていることには、それぞれ異なる役割があります。
| 比較する情報 | 主に分かること | それだけでは分からないこと |
|---|---|---|
| レントゲン画像 | 骨の形、関節の隙間、骨棘などの構造変化 | 痛みの強さや生活への影響の全体像 |
| 本人が感じる症状 | 痛む場所、痛みが出る動作、生活で困っていること | 痛みを起こしている医学的な病態の確定 |
| 医師による診察 | 問診・身体所見・画像・症状の経過などを合わせた医学的な判断 | すべての痛みの原因や今後の経過が必ず分かるわけではない |
例えば、レントゲンでは変形が軽度と説明されていても、階段を下りるたびに痛みが出て、外出する機会が減っているのであれば、その生活上の変化は診察で伝えるべき大切な情報です。
画像の結果と、実際に困っている症状のどちらか一方だけで考えるのではなく、両方を医師に伝えることが重要です。

膝関節の構造や変形性膝関節症、レントゲン・MRIなどの検査について詳しく知りたい方は、膝関節痛の詳しい解説ガイドも参考にしてください。
画像が軽度でも、早めに医療機関へ相談した方がよい症状は?
以前のレントゲンで「軽い」と説明されていても、その後の症状によっては早急な医学的評価が必要です。特に、強い腫れや発熱、外傷後に体重をかけられない状態、膝が伸ばせない状態などは、以前の画像結果にかかわらず医療機関へ相談してください。
速やかな医療相談が必要な場合
次のような症状がある場合は、整体や自己流の運動を行う前に、整形外科などの医療機関で診てもらうことを優先してください。
- 転倒や事故などの外傷後に強い痛みが出ている
- 痛くて脚に体重をかけられない、ほとんど歩けない
- 膝や脚に明らかな変形がある
- 膝が急に大きく腫れた、赤くなった、強い熱感がある
- 膝の腫れや痛みに発熱、強い体調不良を伴っている
- 膝が引っかかったまま伸ばせない、ロックして動かない
- 短期間で痛みや腫れが急激に悪化している
このような場合は、骨や関節、周辺組織の損傷、感染、炎症などについて医療機関で調べる必要があります。症状が強い場合には、当日中の受診や救急受診も含めて相談してください。
無理に膝を曲げ伸ばししたり、運動やストレッチで改善しようとしたりせず、医学的な評価を優先することが大切です。
痛みが続く・強くなる場合の再診
緊急性が高い症状がなくても、以前より痛みが強くなったり、歩ける距離が短くなったり、これまでできていた家事や外出が難しくなったりした場合は、担当医や整形外科へ再相談することをおすすめします。
「前回は軽いと言われたから」と我慢する必要はありません。診察を受けたときから何が変わったのか、今どのようなことに困っているのかを具体的に伝え、現在の状態に合わせた対応を相談しましょう。
次の診察までに、膝のどんな症状を記録しておけばよい?
再診では、「膝が痛い」ということに加えて、どこが、いつ、どんな動作で痛むのかを具体的に伝えると、医師が現在の状態を把握する手がかりになります。
痛む場所・動作・時間帯を記録する
膝の痛みは、一日中同じように続くとは限りません。朝起きたとき、歩き始め、長く歩いた後、夕方など、いつ症状が出るのかを振り返ってみてください。
すべての項目を毎日細かく記録する必要はありません。スマートフォンのメモ帳や手帳などを使って、特に気になる症状を残しておくだけでも役立ちます。
| 記録する項目 | メモしておきたい内容 |
|---|---|
| 検査・診察の情報 | 診察日、右膝・左膝のどちらか、医師から受けた説明 |
| 痛みが始まった時期 | いつ頃からか、きっかけがあったか |
| 痛む場所 | 膝の内側・外側・お皿の周囲・膝裏など |
| 痛みが出る動作 | 歩き始め、階段、立ち上がり、正座、長時間歩行など |
| 痛みの強さ・頻度 | どの程度つらいか、毎回痛むのか、時々なのか |
| 時間帯や変化 | 朝と夜の違い、動いた後や翌朝の様子 |
| 伴う症状 | 腫れ、熱感、曲げ伸ばしのしにくさ、引っかかりなど |
| 以前からの変化 | 前回の診察後に良くなったこと、悪くなったこと |
| 生活への影響 | 買い物、通勤、家事、散歩などで困っていること |
| これまでの対応 | 薬、注射、リハビリ、運動などを行った場合の経過 |
痛みを0〜10などの数字で記録する場合は、毎回同じ基準を使うと、以前との変化を振り返りやすくなります。ただし、数字だけで判断する必要はありません。生活で何が難しくなっているのかも一緒に伝えることが大切です。
買い物・階段・立ち上がりなどの支障を伝える
普段の生活のどこで困っているのかも、診察では大切な情報になります。
例えば、階段では上るときと下りるときのどちらが痛いのか。椅子から立ち上がるときは、立つ瞬間だけなのか、歩き始めの数歩も痛むのか。買い物では、歩いている間に徐々につらくなるのか、帰宅後や翌朝に痛みが残るのか。
さらに、以前は問題なくできていたことが、今はどの程度難しくなっているのかを伝えられると、生活への影響も分かりやすくなります。

診察では、例えば次のように伝えるとよいでしょう。
「前回のレントゲンでは軽い変形と説明されましたが、その後も階段を下りるときに膝が痛みます。以前より買い物で歩ける距離も短くなりました。今の症状について、もう一度相談したいです」
これは伝え方の一例です。ご自身の実際の症状に置き換えて使ってください。記録のために、あえて痛みが出る動作を何度も繰り返す必要はありません。日常生活で自然に感じた変化を、無理のない範囲で振り返りましょう。
レントゲンの説明と痛みが合わないとき、医師に何を聞けばよい?
画像の説明を受けても、現在の痛みについて十分に理解できない場合は、画像でどのような変化が見られたのか、その変化と今の症状がどう関係しているのかを担当医に質問してみましょう。
再診で伝えたいこと・聞きたいこと
診察で何を聞けばよいか迷った場合は、次の質問を参考にしてください。
- 「今回のレントゲンでは、具体的にどのような変化が見られますか?」
「軽い」という説明が何を指しているのかを聞き、現在の膝の状態への理解を深めます。 - 「その変化は、今の痛みと関係しているのでしょうか?」
痛む場所や動作を伝え、画像所見との関係について説明を受けます。 - 「ほかに調べた方がよい状態はありますか?」
今の症状から、追加の診察や検査が必要かどうかを相談します。 - 「どのような症状が出たら、もう一度受診した方がよいですか?」
症状が続く場合や悪化した場合の再相談の目安を聞いておきます。 - 「散歩や運動、普段の生活はどこまで続けてもよいでしょうか?」
現在の状態に応じた活動量や注意した方がよい動作を相談します。
すべてを一度に質問する必要はありません。ご自身が一番不安に感じていること、生活の中で最も困っていることから聞いてみてください。
MRIなどの追加検査が必要かは診察で相談する
「レントゲンでは大きな異常がないのに痛いなら、MRIを撮った方がいいのでは?」と考える方もいるでしょう。
MRIは、半月板や靱帯など、レントゲンでは詳しく見えない組織を調べる際に役立つ検査です。しかし、MRIで何らかの変化が見つかっても、それが必ず現在の痛みの原因であるとは限りません。
また、変形性膝関節症では、症状や診察所見によっては追加の画像検査を必要としない場合もあります。MRIが必要かどうかは、痛みの経過や身体診察、これまでの検査結果などを踏まえて医師が判断します。
大切なのは、MRIを撮ること自体を目的にするのではなく、今の痛みについて医学的に調べるべきことが残っているかを相談することです。画像の説明と症状が合わないと感じている場合は、その疑問を遠慮なく伝えてみましょう。
医療機関で診察を受けた後、当院ではどのように身体の負担を見ていく?
墨東メディカル整体院では、必要な医学的評価を受けた後、膝そのものの状態と日常生活での動きを実際に見ながら、身体のどこに負担が集まっているのかを患者さんと一緒に考えます。
医師から説明された診断名や画像所見は、現在の状態を考えるうえで大切な情報です。当院では、その結果を否定したり、画像で見られた変形を整体で元に戻せると説明したりすることはありません。
そのうえで、膝の動き、周囲の筋肉の緊張、股関節や足首の動き、体重のかけ方、痛みをかばう身体の使い方など、整体の範囲で調整できる負担がないかを考えていきます。
困っている動作と実際のお身体を一緒に見る
まずは、医療機関でどのような説明を受けたのか、いつから痛みがあるのか、普段の生活で何に一番困っているのかを詳しく伺います。
その後、膝の曲げ伸ばし、周辺の筋肉や関節の動き、立ったときの体重のかけ方などを見させてもらいます。必要に応じて、椅子からの立ち上がりや歩行など、普段つらさを感じる動作も無理のない範囲で行っていただきます。
膝は単独で身体を支えているわけではありません。立ち上がるときには股関節や足首も働き、歩くときには体幹や骨盤の動きも関わっています。
例えば、股関節や足首の動きが制限されている場合や、膝の痛みをかばって片側に体重をかけている場合などは、膝への負担のかかり方にも違いが生じることがあります。
ただし、姿勢の左右差や関節の硬さが見られたからといって、それだけを膝の痛みの原因とは決めません。実際の動作やそのときの症状との関係を見ながら、どこから整えていくことが適切かを考えます。
必要な整体・運動を行い、同じ動作で変化を見る
お身体の状態と、患者さんがどのような生活を目指したいかを一緒に整理したうえで、施術方針を相談します。
当院では、次のような流れで施術を進めています。
- 症状と生活上の困りごとを伺う
診察結果や症状の経過を聞き、患者さんが最も改善したい動作や生活上の目標を共有します。 - 膝と身体全体の動きを見る
膝周囲の筋肉や関節、股関節、足首、体重のかけ方、立ち上がりや歩行などを実際に見ます。 - どこから整えるかを相談する
どの部分へ負担が集中していると考えるのかを説明し、患者さんの希望や身体の状態に合わせて施術方針を組み立てます。 - 必要な整体・運動を行う
膝周囲や大腿部などの筋肉・関節への施術、必要に応じた股関節や足部への施術、身体を支えるための運動や日常動作の調整などを組み合わせます。 - 施術後の変化を一緒に見る
施術前と同じ立ち上がりや歩行などで、痛みの出方や動きやすさを比べます。さらに、施術後の日常生活での経過も伺い、その変化を次の施術につなげていきます。

施術によって動きやすさや痛みの出方が変わった場合、その変化は身体の負担を考えるうえで一つの手がかりになります。ただし、施術直後に変化があったからといって、その部分だけが痛みの原因だったと決まるわけではありません。
また、すべての方に同じ施術や運動が適しているわけではありません。症状や身体の状態に合わせて内容を調整し、変化が乏しい場合は施術方針を見直します。新たな症状や悪化がみられる場合は、必要に応じて医療機関への再相談をご案内します。
当院が大切にしているのは、患者さんご自身が今のお身体の状態を理解し、実感・納得しながら一緒に改善を目指すことです。膝の痛みだけでなく、買い物や散歩など、日常生活で続けたいことも伺いながら施術を進めています。
膝関節痛に対する当院の考え方や施術内容については、膝関節痛・膝の痛みについてのページでも詳しくご紹介しています。
まとめ|画像の説明と、実際の膝のつらさを両方伝えよう
レントゲンで「軽い変形」「大きな異常はない」と説明されたからといって、現在感じている膝の痛みや生活上の支障が軽いということではありません。
画像所見と実際の症状が一致しないと感じる場合は、痛む場所や動作、以前との変化、生活で困っていることを整理し、担当医や整形外科で相談してみてください。必要な検査や医学的な対応は、診察結果に基づいて判断してもらうことが大切です。
そのうえで、医学的な評価を受けた後も、立ち上がりや歩行、階段などで膝への負担が気になる方は、身体の使い方や周辺の筋肉・関節の動きにも目を向けてみましょう。
墨田区の墨東メディカル整体院では、医療機関で受けた説明も大切にしながら、患者さんのお話と実際のお身体の動きから、どこに負担がかかっているのかを一緒に考えます。必要な整体や運動を行い、施術後の変化を見ながら、買い物や散歩などを続けやすい身体を目指していきます。
「病院では軽いと言われたけれど、毎日の生活では困っている」「診察を受けた後、膝への身体的な負担も見直してみたい」という方は、現在のお悩みをお聞かせください。
参考資料:日本整形外科学会「変形性膝関節症」/NICE「Osteoarthritis in over 16s: diagnosis and management」(2022年)/Hill BG, et al.「The Discordance Between Pain and Imaging in Knee Osteoarthritis」(2025年)。医学情報は一般的な解説であり、個別の診断や治療方針を示すものではありません。
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