
猫背と巻き肩を、同じ姿勢だと思っていませんか?
背中が丸く見えると「猫背」、肩が前へ出て見えると「巻き肩」と呼ばれます。二つは同時に見られることが多いため、同じ意味として扱われがちです。
しかし、猫背と巻き肩は身体を見る範囲が異なります。
猫背は、胸椎・胸郭・骨盤・頭部を含む上半身全体の姿勢です。巻き肩は、肩甲骨・鎖骨・上腕・胸郭の位置関係が変わり、肩と腕が前方へ置かれた状態です。
猫背がなくても巻き肩になることがあり、巻き肩が目立たなくても背中全体が丸まることがあります。一方で、胸郭が丸まると肩甲骨と腕が前へ移動し、腕の重さで肩甲帯が前へ引かれると胸郭も丸くなるため、実際の身体では二つが相互に悪化します。
このページでは、猫背と巻き肩の違い、胸郭・肩甲骨・鎖骨・上腕の仕組み、日常の疲労が蓄積して姿勢が固まる流れ、肩こりや背中の張りとの関係、セルフチェック、セルフケア、医療機関と整体の役割まで詳しく解説します。
先にお伝えしたいこと
- 猫背と巻き肩は、同じ状態ではありません
- 猫背は上半身全体、巻き肩は胸郭肩甲帯と腕を中心に確認します
- 日常の疲労が回復しきれず蓄積すると、筋肉と関節が固まり、姿勢は悪化します
- 肩を後ろへ引くだけでは、腕の重さと胸郭の硬さが残るため元へ戻ります
- 見た目だけでなく、症状、圧痛、動作、呼吸、生活上の支障を合わせて確認します
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猫背とは、どのような姿勢ですか?

猫背は医学的な一つの診断名ではなく、背中が丸く見える姿勢を表す一般的な言葉です。単に胸椎のカーブが大きいことだけではなく、骨盤、胸郭、頭部がどのように積み重なっているかによって見え方が変わります。
胸椎
胸椎は首と腰の間にある12個の椎骨です。肋骨とつながり、胸郭を形作ります。胸椎はもともと後方へ緩やかに弯曲していますが、疲労が蓄積して伸ばす動きが失われると、背中の丸まりが固定されます。
胸郭
胸郭は胸椎、肋骨、胸骨によって作られ、呼吸に合わせて広がり、腕を動かす肩甲骨の土台になります。胸郭が後ろへ倒れ、前方へつぶれた状態で固まると、肩甲骨も前方へ移動します。
骨盤
骨盤は上半身を支える土台です。浅く座り、骨盤が後ろへ倒れた状態が続くと、腰から胸郭までが丸くなります。正面を見るために頭を持ち上げるため、猫背と頭部前方位が同時に強くなります。
頭部
胸郭が丸まって後ろへ倒れても、人は正面を見て生活します。そのため頭部を前へ移動させ、首の上部を反らして視線を保ちます。背中が丸いだけに見えても、首の後ろと肩上部では頭を支える緊張が続いています。
つまり猫背は、胸椎だけの問題ではありません。骨盤が崩れ、胸郭が丸まり、頭部が前へ補正する上半身全体の姿勢です。
巻き肩とは、どのような状態ですか?

巻き肩も医学的な一つの診断名ではなく、肩や腕が身体より前へ位置して見える状態を表す一般的な言葉です。
肩関節は、上腕骨だけで動く関節ではありません。肩甲骨と鎖骨が胸郭の上で連動し、その先に上腕がつながっています。巻き肩では、この肩甲帯と腕の位置関係が前方へ偏ります。
肩甲骨が外側・前方へ移動する
肩甲骨は背中へ貼り付いた骨ではなく、筋肉によって胸郭の上に保たれています。腕を前へ伸ばす動作では、肩甲骨も外側・前方へ動きます。この動作が繰り返され、戻す動きが少なくなると、肩甲骨が前方へ移動した位置で固まります。
鎖骨が肩甲骨と一緒に位置を変える
鎖骨は胸骨と肩甲骨をつなぎ、腕の力を体幹へ伝えます。肩甲骨が前方へ移動すると、鎖骨も前方へ回旋し、肩の前面が身体の中央へ入りやすくなります。
上腕が内側へ向く
パソコン、スマートフォン、料理、運転などでは、手のひらを下へ向け、肘と腕を身体の前で使います。この姿勢が続くと上腕は内側へ向き、肩の前面が前方へ出て、巻き肩の形が固定されます。
巻き肩は、肩だけが前へ出ている状態ではありません。胸郭の上で肩甲骨と鎖骨が位置を変え、その先にある上腕と腕全体が前方へ移動した状態です。
猫背と巻き肩の違いを比較します

| 比較項目 | 猫背 | 巻き肩 |
|---|---|---|
| 主に見る範囲 | 頭部・胸椎・胸郭・骨盤を含む上半身全体 | 胸郭・肩甲骨・鎖骨・上腕・腕の位置関係 |
| 横からの見え方 | 背中から腰までが丸く、頭が前へ出て見える | 肩の前面と腕が、胸郭より前へ出て見える |
| 中心となる動き | 胸椎の伸展、胸郭の起き上がり、骨盤との連動 | 肩甲骨の外転・内転、上方回旋、後傾、鎖骨と上腕の連動 |
| 同時に起こるか | 巻き肩を伴うことが多い | 猫背が目立たなくても起こる |
| 負担が出やすい場所 | 首、背中、腰、胸郭周辺 | 胸の前、脇、肩甲骨周辺、首肩、腕 |
| 見た目だけで判断できるか | できない。症状、動作、圧痛、生活上の支障を確認する | できない。腕の動き、肩甲骨、胸郭、筋肉の働きを確認する |
猫背と巻き肩が重なると、頭と腕の重さが胸郭肩甲帯へ集中します。胸郭が丸まり、肩甲骨が前方へ移動し、その状態を首肩と背中の筋肉が支え続けるため、姿勢が固定され、症状も悪化します。
猫背・巻き肩・ストレートネックは、重なって悪化します
猫背・巻き肩と一緒に見られやすいのが、頭部前方位やストレートネックです。
猫背によって胸郭が後ろへ倒れると、正面を見るために頭を前へ出します。巻き肩によって腕と肩甲帯が前へ移動すると、胸郭がさらに前方へ引かれ、首が頭を支える負担も増えます。
ただし、ストレートネックは主に頸椎のカーブ、頭部前方位は頭と胸郭の位置関係、猫背は上半身全体、巻き肩は胸郭肩甲帯と腕を表す言葉です。似て見えても、同じ状態ではありません。
腕と肩甲骨は、胸郭の上で連動して動きます

腕を上げる時、上腕骨だけが肩関節の中で動くわけではありません。肩甲骨は胸郭の上で上方へ回旋し、後方へ傾き、鎖骨も一緒に動きます。胸椎と肋骨も腕を上げやすい位置へ変化します。
巻き肩が固定され、肩甲骨が前方へ傾いたまま動けなくなると、腕を上げる時に肩をすくめたり、腰を反らしたり、首を傾けたりして補います。肩だけの動きに見えても、実際には胸郭、背骨、骨盤まで使って腕の位置を作っています。
肩甲骨は腕の動く土台であり、胸郭は肩甲骨の動く土台です。猫背・巻き肩を整えるには、肩甲骨を無理に中央へ寄せるのではなく、腕の動きに合わせて胸郭上を滑らかに動ける状態へ戻す必要があります。
肩甲骨を支える筋肉は、一つではありません

僧帽筋
上部・中部・下部に分かれ、肩甲骨を持ち上げる、内側へ寄せる、上方へ回旋させるなど、部位ごとに異なる働きをします。
前鋸筋
肋骨から肩甲骨の内側へつながり、肩甲骨を胸郭へ沿わせながら、腕を上げる方向へ動かします。腕を前方で使う時にも重要です。
菱形筋
背骨と肩甲骨をつなぎ、肩甲骨を内側へ引き、背中側で支えます。引き伸ばされた状態が続けば、肩甲骨周辺の張りとして感じます。
小胸筋・大胸筋
胸の前から肩甲骨や上腕へつながります。腕を前へ使い続けると短く硬くなり、肩甲骨と上腕を前方へ引く力が残ります。
回旋筋腱板
肩甲骨から上腕骨へつながる深層筋です。腕を動かす時に上腕骨頭を安定させ、肩甲骨との動きを調整します。
広背筋・肩甲挙筋など
腕、肩甲骨、背骨、骨盤をつなぎます。胸郭や骨盤の位置が崩れると、肩甲骨を別の方向へ引いて補正します。
猫背・巻き肩を「胸の前が硬い、背中が弱い」だけで説明することはできません。硬さ、持久力、動作のタイミング、痛みによる抑制、呼吸、腕の使い方によって、同じ筋肉でも働きすぎる部分と働きにくい部分が生まれます。
肩甲骨を強く寄せ続けると僧帽筋や菱形筋へ別の疲労が蓄積します。必要なのは、肩甲骨を固定することではなく、腕の動きに合わせて複数の筋肉が協調できる状態です。
猫背・巻き肩が形成され、悪化する原因

デスクワーク
画面と手元を見るために頭と腕を前へ置きます。前腕が机や肘掛けで支えられていないと、腕の重さを首肩と肩甲骨周辺の筋肉が支え続けます。
スマートフォン
画面を低い位置で見ると、頭を前へ出し、胸郭を丸め、両腕を身体の前へ置きます。短時間でも一日に何度も繰り返すため、首と胸郭肩甲帯へ疲労が蓄積します。
家事・育児・介護
料理、洗濯、掃除、抱っこ、介助は、腕を前へ伸ばして支える作業です。作業台が低い、同じ側の腕を使う、身体から離れた位置で物を持つほど、胸郭と肩甲帯が前へ引かれます。
運転
ハンドルへ両腕を伸ばし、視線を正面へ固定します。座面と背もたれの距離が合わないと、骨盤が後ろへ倒れ、胸郭が丸まり、肩が前へ出た姿勢で固まります。
睡眠・休息・回復不足
日中に同じ負担がかかっても、睡眠と休息で回復できれば筋肉の緊張は残りません。仕事量、睡眠不足、運動不足、精神的な緊張が重なると回復が追いつかず、硬さ、圧痛、動作制限が翌日へ持ち越されます。
仕事や家事を続けるため、頭と腕を前へ置きやすい姿勢へ身体が変化します。
胸の前、脇、肩甲骨周辺、首肩、背中の筋肉が休めず、緊張と圧痛が残ります。
胸椎の伸び、肋骨の広がり、肩甲骨の滑り、上腕の外旋が小さくなります。
前へ移動した頭と腕を支えるため、同じ筋肉がさらに働き、姿勢と症状が悪化します。
猫背・巻き肩は、日常の負担と回復不足によって形成され、疲労が蓄積して筋肉と関節が固まることで悪化します。姿勢だけを意識しても、固まった組織と繰り返す生活条件が残るため元へ戻ります。
生活への順応と、悪い固定は分けて考えます
身体は仕事、家事、スポーツ、利き手、過去の経験に合わせて使いやすい形へ順応します。多少の左右差や前傾姿勢は、その人が活動するために必要なこともあります。
しかし、次の状態が重なると、必要な順応ではなく、負担が蓄積した悪い固定です。
- 肩こり、背中の張り、腕の重さ、痛みが続いている
- 腕を上げる、後ろへ回す、物を持つ動作がしづらい
- 胸郭や肩甲骨の動きが小さく、深呼吸でも背中が広がりにくい
- 筋肉の硬さや圧痛が休んでも残る
- 仕事や家事の後に症状が強くなり、翌日まで回復しない
- 姿勢を直そうとすると、首や腰へ別の負担が出る
見た目だけで悪いと決めるのではなく、症状、動作、圧痛、疲労、回復、生活上の支障を合わせて判断します。そのうえで、必要な適応は残し、症状を悪化させている余分な負担を減らします。
猫背・巻き肩で負担が集中すると起こる症状
肩こり・首こり
前へ移動した頭と腕を支えるため、僧帽筋、肩甲挙筋、首の後ろへ緊張が集中します。
肩甲骨の内側・背中の張り
肩甲骨が外側へ移動したままになると、菱形筋や僧帽筋中部が引き伸ばされ、背中の張りや鈍い痛みが続きます。
胸の前・脇の詰まり
大胸筋、小胸筋、広背筋などが短く硬くなり、胸を開く、腕を後ろへ回す動作で詰まりを感じます。
腕の重さ・疲れやすさ
肩甲骨と体幹で腕を支えられず、上腕と前腕の重さが首肩へかかるため、デスクワークや家事で腕が早く疲れます。
腕を上げにくい・肩がすくむ
肩甲骨の上方回旋と後傾が不足し、胸郭も起きないため、腕を上げる時に肩をすくめて補います。
呼吸が浅く感じる
胸郭と肋骨が固まると、息を吸う時の広がりが小さくなり、首肩の補助呼吸筋を使って呼吸するため、さらに緊張が強くなります。
これらの症状があるからといって、すべて猫背・巻き肩だけで説明できるわけではありません。しかし、日常負荷によって猫背・巻き肩が固定され、同じ筋肉と関節へ負担が集中していれば、症状を悪化させる明確な要因になります。
猫背・巻き肩は、首肩症状を悪化させます
胸椎の姿勢を起こすと、肩を上げられる範囲がその場で広がることが研究でも確認されています。また、頭部前方位と巻き肩がある人では、腕を上げる際の肩甲骨の動きと、僧帽筋・前鋸筋の活動が異なることが報告されています。
これは、猫背や巻き肩の形だけがすべての肩痛を作るという意味ではありません。肩関節の腱板、関節包、頸椎、神経、外傷、炎症など、別の状態も区別する必要があります。
ただし、胸郭が丸まり、肩甲骨が前方で固まり、腕を上げるたびに肩をすくめる状態では、肩関節周辺へ負担が集中します。すでに肩痛がある人にとって、猫背・巻き肩は症状を維持・悪化させる要因になります。
姿勢の見た目だけで肩痛の原因を決めるのではなく、腕を上げる動作、肩甲骨の動き、筋力、圧痛、医療機関での診断を合わせて確認します。
猫背・巻き肩と呼吸・胸郭の動き

呼吸では、横隔膜が下がり、肋骨が前後・左右・上下へ広がります。胸郭は硬い箱ではなく、呼吸のたびに形を変える構造です。
猫背で胸郭が後ろへ倒れ、巻き肩で胸の前と脇が固まると、肋骨の広がりが小さくなります。深く吸おうとしても胸郭が動かないため、斜角筋や胸鎖乳突筋など首の筋肉、僧帽筋上部など肩周辺の筋肉を使って胸郭を持ち上げます。
その結果、呼吸をするたびに首肩の緊張が増え、肩こりと巻き肩がさらに悪化します。
「巻き肩だから肺が圧迫されている」と単純に説明するのではなく、胸椎、肋骨、肩甲骨、呼吸筋が動けるか、どこで呼吸を補っているかを確認することが重要です。
三層重心連動構造から見る猫背・巻き肩

墨東メディカル整体院では、身体を「頭部」「胸郭・肩甲帯」「骨盤」の三つの領域に分け、背骨を介してどのように支え合っているかを確認します。これを三層重心連動構造と呼んでいます。
頭部から始まる流れ
画面や手元を見るために頭が前へ移動すると、胸郭が前へ引かれ、肩甲骨と腕も前方へ移動します。頭を支える首肩の緊張が、胸郭肩甲帯へ広がります。
胸郭肩甲帯から始まる流れ
腕の重さで肩甲骨と胸郭が前へ引かれると、背中が丸まり、頭が前へ補正します。巻き肩が猫背と頭部前方位を悪化させます。
骨盤から始まる流れ
骨盤が後ろへ倒れると、腰から胸郭までが丸まり、肩甲骨と腕が前へ移動します。反対に、肩を後ろへ引こうとして腰を反らせば、骨盤と腰へ別の負担が集中します。
三層は一方向ではなく相互に補正します。そのため、猫背・巻き肩でも肩だけを施術するのではなく、どの層から始まり、どの層がかばっているかを確認します。
三層重心連動構造は、一般的な解剖学・運動学・姿勢制御などを参考に、当院が施術上の情報を整理するために考案した臨床上の評価モデルです。独立した療法として有効性が確立された医学理論ではなく、病気を診断するものでもありません。
猫背・巻き肩のセルフチェック

CHECK 1|横から上半身を見る
力を入れず自然に立ち、横から写真を撮ります。耳、肩、胸郭、骨盤の位置を見ます。背中全体が丸く、胸郭より頭が前へ出ていれば猫背が固定しています。
CHECK 2|腕を自然に下ろした時の手の向き
力を抜いて立った時に、手の甲が前を向き、肘の内側が身体の後方へ向いていれば、上腕が内側へ向き、巻き肩が固定しています。
CHECK 3|仰向けで肩の位置を確認する
膝を立てて仰向けになり、力を抜きます。肩の前面が床から大きく浮き、胸の前や脇が強く引かれる場合は、肩甲帯が前方へ固定しています。
CHECK 4|腕を上げた時の動きを見る
腰を反らさず、両腕をゆっくり上げます。途中で肩がすくむ、肘が曲がる、腰が反る、腕が耳の横まで上がらない場合は、胸郭と肩甲骨の動きが不足しています。
CHECK 5|深呼吸で胸郭の広がりを確認する
両手を下部肋骨へ当て、鼻からゆっくり息を吸います。胸の上だけが持ち上がり、背中や脇が広がらない場合は、胸郭が固まり、首肩で呼吸を補っています。
セルフチェックは、病気の診断や重症度を決めるものではありません。一つの項目だけで判断せず、左右差、痛み、圧痛、動作、仕事や家事への影響を合わせて確認してください。
自宅で行う猫背・巻き肩のセルフケア

1.腕を支えて胸郭を広げる呼吸
- 椅子へ座り、両前腕を机やクッションの上へ置きます。
- 肩の力を抜き、背中を丸めすぎず自然な位置にします。
- 両手を下部肋骨へ当て、鼻から息を吸います。
- 胸の前だけでなく、脇と背中が広がる感覚を確認します。
- 口からゆっくり息を吐き、5呼吸程度行います。
腕を支えることで、首肩で腕の重さを受け止める負担を減らします。肩を後ろへ引かず、胸郭が呼吸に合わせて広がることを優先します。
2.椅子で胸郭を起こす運動
- 背もたれのある椅子へ深く座ります。
- 両手を後頭部へ軽く添え、肘を少し開きます。
- 腰を反らさず、胸の中央を斜め上へ向けます。
- 息を吸いながら胸郭を起こし、吐きながら戻します。
- ゆっくり5回程度行います。
首を後ろへ反らさず、みぞおちより上の胸椎と肋骨を動かします。胸を張るのではなく、固まった胸郭を動かす運動です。
3.壁を使って肩甲骨を動かす運動
- 壁の前へ立ち、両前腕を壁につけます。
- 肘は肩幅程度にし、肩をすくめず、壁を軽く押します。
- 壁を押したまま、前腕を無理のない範囲で上へ滑らせます。
- 肩甲骨が肋骨の上を外側・上方へ動く感覚を確認します。
- ゆっくり元へ戻し、5〜10回行います。
肩甲骨を中央へ強く寄せず、胸郭の上を滑らせます。腰が反る、肩がすくむ、痛みが出る範囲まで上げないでください。
セルフケアを中止する目安
- 肩や腕の痛みが明らかに強くなる
- 腕や手のしびれが広がる
- 腕に力が入りにくくなる
- 胸痛、息苦しさ、動悸、めまいが現れる
- 運動後も症状の増加が長く続く
症状が増える運動を、効いている証拠だと思って我慢する必要はありません。強い痛みや神経症状がある場合は、セルフケアより医療機関での確認を優先してください。
猫背・巻き肩を繰り返さないための日常調整
パソコンでは前腕を支える
画面の高さだけでなく、キーボードとマウスを使う腕の位置が重要です。前腕を机や肘掛けへ置き、首肩だけで腕の重さを支えない環境を作ります。
スマートフォンを身体へ近づける
腕を前へ伸ばして画面を持つと、肩甲帯へ腕の重さがかかります。肘を身体やクッションへ置き、画面を目へ近づけて、頭と腕が同時に前へ出る時間を減らします。
家事では作業する位置を近づける
洗濯物、調理器具、掃除道具を身体から離した位置で扱うほど、腕の重さが肩へかかります。作業台へ近づき、肘を軽く曲げて作業できる位置へ調整します。
運転では背もたれとハンドルの距離を合わせる
肘が伸び切らない距離へ座席を調整し、骨盤と背中を背もたれへ預けます。肩を後ろへ引くのではなく、腕を前へ伸ばし続けなくてよい位置を作ります。
一つの姿勢を長時間保たない
良く見える姿勢でも、固めて保ち続ければ筋肉は疲労します。30分から1時間程度を目安に、前腕を置く位置を変える、立ち上がる、深呼吸する、腕を上げるなど、姿勢と動作を切り替えます。
自己流で避けたい猫背・巻き肩対策
- 肩甲骨を一日中、強く中央へ寄せ続ける
- 腰を大きく反らして胸を張る
- 痛みを我慢して胸や肩を強く伸ばす
- 肩を後ろへ押さえるベルトだけに頼る
- 硬いボールや器具を脇・鎖骨周辺へ強く押し当てる
- 腕のしびれや筋力低下がある状態で強い筋力運動を続ける
- 写真の見た目だけを基準に姿勢を固定する
肩甲骨を寄せること、胸を伸ばすことが必要な方もいます。しかし、胸郭が動かず、腕の重さを支えられないまま形だけを直すと、首、肩甲骨の内側、腰へ新しい疲労が蓄積します。
医療機関での確認を優先した方がよい症状
- 転倒、事故、スポーツなどの外傷後から強く痛む
- 腕や手のしびれ、感覚低下、筋力低下が進んでいる
- 腕を上げられないほど強い肩痛や、急激な可動域低下がある
- 肩が赤く腫れ、発熱を伴う
- 安静にしていても強く痛む、夜間痛が急に強くなった
- 胸痛、強い息苦しさ、冷や汗、動悸を伴う
- 原因不明の体重減少、強い倦怠感など全身症状がある
突然の胸痛や呼吸困難、片側の手足の麻痺、意識の変化などがある場合は、整体院へ相談するのではなく、救急要請を含めて速やかに医療機関へ連絡してください。
医療機関と整体では、確認する役割が異なります
| 医療機関 | 墨東メディカル整体院 | |
|---|---|---|
| 主な役割 | 病気や外傷の診断、画像検査、医学的な状態の確認 | 整体施術を組み立てるための身体的な負担の評価 |
| 確認する内容 | 診察、反射、筋力、感覚、レントゲン、MRIなど | 問診、姿勢、動作、可動域、圧痛、筋肉、関節、呼吸、生活背景など |
| 主な対応 | 薬、注射、リハビリ、手術など | 徒手施術、運動、動作指導、生活上の負荷調整 |
| 判断 | 医学的な診断 | 整体施術を行うための総合的な評価 |
医療機関と整体は、どちらか一方を選んで対立させるものではありません。肩関節や頸椎、神経、内科的な問題を医療機関で確認したうえで、筋肉、関節、姿勢、動作、日常負荷へ整体で取り組むこともできます。
すでにレントゲンやMRIを受けている方は、診断名、画像所見、医師から説明された内容をお知らせください。当院では医療機関の所見を否定せず、整体の範囲で整えられる身体的な負担を確認します。
整体では、猫背・巻き肩の何を確認するのか
墨東メディカル整体院では、猫背・巻き肩の形だけではなく、現在の症状を作り、悪化させている身体的な負担を確認します。
- 仕事、家事、運転、睡眠など、症状が悪化する生活場面
- 立位・座位での頭部、胸郭、肩甲骨、骨盤の位置
- 腕を上げる、前へ伸ばす、後ろへ回す動作
- 肩甲骨、鎖骨、胸椎、肋骨、肩関節の動き
- 胸の前、脇、肩甲骨周辺、首肩、背中の硬さと圧痛
- 肩甲骨を支える筋肉と深層筋の持久力・協調性
- 呼吸時の胸郭の広がりと首肩の代償
- 施術前後に同じ動作を行った時の変化
施術では、過剰に緊張した筋肉や軟部組織をゆるめ、胸郭・肩甲骨・鎖骨・肩関節の動きを整えます。そのうえで、肩甲骨と腕を支える筋肉の協調性を補い、仕事や家事で腕の重さが一か所へ集中しない使い方を練習します。
詳しい検査、施術方針、初回体験、予約方法は集客用ページでご案内しています。
猫背・巻き肩についてよくある質問
参考にした主な医学資料
本ページは、一般的な解剖学・運動学、姿勢と肩関節機能、運動療法に関する医学文献を確認し、当院の臨床上の考えと区別して作成しています。
- Anatomy, Thorax, Scapula. StatPearls, NCBI Bookshelf.
- Anatomy, Shoulder and Upper Limb, Shoulder. StatPearls, NCBI Bookshelf.
- Association Between Forward Head, Rounded Shoulders, and Increased Thoracic Kyphosis: A Review of the Literature.
- Is thoracic spine posture associated with shoulder pain, range of motion and function? A systematic review.
- The association of scapular kinematics and glenohumeral joint pathologies.
- Head and shoulder posture affect scapular mechanics and muscle activity in overhead tasks.
- The effect of various therapeutic exercises on forward head posture, rounded shoulder, and hyperkyphosis: a systematic review and meta-analysis.
- Effectiveness of specific scapular therapeutic exercises in patients with shoulder pain: a systematic review with meta-analysis.
- Effect of forward head posture on thoracic shape and respiratory function.
本ページは病気の診断を目的としたものではありません。三層重心連動構造は、当院が施術上の情報を整理するために使用する臨床上の評価モデルです。施術や運動による変化には個人差があります。


