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股関節痛とは?痛む場所・考えられる状態・検査・対処法を詳しく解説

鼠径部や股関節外側、臀部の痛みと歩行などの動作を示した股関節痛の解説図

股関節痛という言葉だけでは、原因や必要な対応は決まりません

股関節痛は、鼠径部や脚の付け根、股関節の外側、臀部、太ももなどに感じる痛みや重さ、動かしづらさ、引っかかりなどをまとめた呼び方です。一つの病名を表しているわけではありません。

股関節そのものに関係する状態もあれば、関節周辺の筋肉や腱、腰椎、神経、仙腸関節、膝、腹部・鼠径部・骨盤内の状態などが、股関節周辺の痛みとして感じられる場合もあります。

そのため、「股関節が硬い」「骨盤が歪んでいる」「中殿筋が弱い」と一つの原因へ決めつけることはできません。どこが痛むのか、どの動作で痛むのか、体重をかけた時と脚を動かした時で違いがあるか、腰痛やしびれを伴うかなどを合わせて確認する必要があります。

このページでは、股関節の構造と動き、痛む場所による違い、変形性股関節症や股関節インピンジメントなどの状態、腰・神経症状との区別、医療機関で行われる検査、整体で確認する身体的な負担、安全なセルフケアについて順番に解説します。

先にお伝えしたい6つのこと

  • 股関節痛は一つの病名ではなく、複数の状態で現れる症状です
  • 鼠径部、外側、臀部では、確認する組織や関連部位が異なります
  • 痛む場所だけで、どの組織や疾患かを自己判断することはできません
  • 画像所見は重要ですが、症状、動作、経過、生活への影響も合わせて考えます
  • 外傷後の荷重不能、発熱、腫れ、進行する神経症状などがある場合は医療機関を優先します
  • ストレッチや筋力トレーニングは、痛む場所と身体の状態に合わせて選ぶ必要があります

当院で行う検査、施術の考え方、初回体験、予約方法を先に確認したい方は、集客用ページをご覧ください。

股関節とは、骨盤と大腿骨をつなぐ関節です

骨盤の寛骨臼と大腿骨頭、関節軟骨、関節包、関節唇からなる股関節の基本構造

股関節は、骨盤側のくぼみである寛骨臼に、大腿骨の先端にある大腿骨頭がはまり込む球関節です。上半身の重さを下肢へ伝えながら、脚を前後左右へ動かす役割を担います。

骨盤・寛骨臼

骨盤の外側にある寛骨臼が、大腿骨頭を受け止めます。寛骨臼の向きや深さには個人差があり、小児期からの形成や発育も成人後の股関節に関係します。

大腿骨頭・大腿骨頸部

大腿骨頭は球状で、寛骨臼の中を動きます。大腿骨頭と骨幹部の間にある大腿骨頸部は、転倒などによる骨折が起こることがある部位です。

関節軟骨

大腿骨頭と寛骨臼の表面を覆い、関節面の摩擦を減らし、荷重を分散します。変形性股関節症では、関節裂隙の狭小化や骨棘などの変化が画像で確認されることがあります。

関節包・靱帯

股関節を包み、関節の安定性と動く範囲に関係します。必要な安定性を保ちながら、歩行や立ち上がりに合わせて張力が変化します。

関節唇

寛骨臼の縁にある線維軟骨で、関節面を深くし、股関節の安定性や関節内の圧力維持に関係します。損傷が疑われる場合は、症状と診察に応じて医療機関が画像検査の必要性を判断します。

股関節は6方向へ動きます

股関節の屈曲、伸展、外転、内転、内旋、外旋の6方向の動き
動き分かりやすい説明関係する生活動作
屈曲太ももを身体の前へ近づける椅子へ座る、靴下を履く、階段を上る
伸展脚を身体の後方へ動かす歩行の蹴り出し、立位で身体を前へ進める
外転脚を外側へ開く片脚で身体を支える、横へ踏み出す
内転脚を身体の中央へ近づける方向転換、脚をそろえる
内旋大腿骨を内側へ回す歩行、しゃがむ、方向転換
外旋大腿骨を外側へ回すあぐら、靴下、車の乗り降り

可動域が広ければ良い、左右差がなければ良いというものではありません。体格、骨の形、過去の外傷、仕事やスポーツへの順応によって動く範囲は異なります。痛み、引っかかり、生活上の支障があるかを合わせて確認します。

歩行・立ち上がり・階段では、股関節だけが動くわけではありません

歩行と立ち上がり、階段で股関節と体幹、膝、足部が連動する様子

歩行

歩行では、片脚で身体を支える時間と、脚を前へ運ぶ時間があります。股関節周辺の筋肉だけでなく、骨盤、体幹、膝、足部が協調して重心を移動させます。

椅子からの立ち上がり

上半身を前へ移し、足部へ体重を乗せ、膝と股関節を伸ばして立ち上がります。股関節を曲げにくい、前面が痛い、足部へ体重を移しにくい場合は、腰や反対側へ動作を逃がすことがあります。

階段

上る時は片脚で身体を持ち上げ、下りる時は身体が落ちすぎないように支えます。股関節の筋力だけでなく、持久力、バランス、膝と足部の動き、手すりの使い方なども関係します。

靴下・爪切り・車の乗り降り

股関節を深く曲げる、外へ開く、回旋する動きが重なります。股関節前面の痛みや引っかかりがある場合は、無理に深く曲げ続けず、状態を確認する必要があります。

痛む場所によって、考え方が異なります

鼠径部、股関節外側、臀部、太もも、膝へ広がる股関節周辺の痛みの場所

鼠径部・股関節前面の痛み

股関節内の状態で鼠径部に痛みを感じることがあります。変形性股関節症、股関節インピンジメント、関節唇などが医療上の確認対象になるほか、腸腰筋や内転筋など関節周辺の組織が関係する場合もあります。

深く曲げる、脚を開く、方向を変える、車へ乗るなどで痛む場合がありますが、その動作だけで疾患を確定することはできません。

股関節外側の痛み

大腿骨の外側にある大転子周辺には、中殿筋・小殿筋の腱や滑液包などがあります。片脚荷重、階段、長時間歩行、横向きで寝ることなどで外側が痛む場合は、これらの組織を含めて確認します。

以前は外側の痛みを一括して滑液包炎と呼ぶことがありましたが、実際には臀筋腱など複数の組織が関係するため、「大転子部痛症候群」というまとまりで扱われることがあります。

臀部・股関節後面の痛み

股関節周囲の深層筋、仙腸関節周辺、坐骨付近の腱、腰椎や神経などが関係する場合があります。長時間座る、立ち上がる、片脚へ体重を乗せる、前屈や腰の動きで変化するかを確認します。

太もも・膝へ広がる痛み

股関節の状態によって、太ももの前面、外側、内側や膝付近へ痛みを感じる場合があります。一方で、膝そのもの、筋肉や腱、腰椎や神経から広がる症状もあるため、痛む場所だけでは区別できません。

腰から臀部・脚へ広がる痛みやしびれ

腰から臀部、太もも、ふくらはぎ、足へ痛みやしびれが広がる場合は、坐骨神経痛、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症など、腰椎や神経に関連する状態との区別が必要です。

安静時・夜間にも続く痛み

動作とは関係なく強く痛む、夜間に目が覚める痛みが続く、発熱や全身症状を伴う場合は、単なる筋肉疲労や姿勢の問題と決めず、医療機関で確認してください。

股関節内の問題と、関節周辺の問題は分けて考えます

正常な股関節と変形性股関節症で関節裂隙が狭くなる様子を比較した基本図
確認する範囲含まれるもの現れ方の一例注意点
股関節内関節軟骨、関節唇、骨、滑膜、関節包など鼠径部痛、深く曲げた時の痛み、可動域制限、引っかかり診断や画像検査が必要な状態があります
股関節周辺臀筋腱、腸腰筋、内転筋、近位ハムストリングス、滑液包など押した時の痛み、特定の筋収縮や姿勢での痛み一つの筋肉だけを原因とは断定できません
関連部位腰椎、神経、仙腸関節、膝、腹部・骨盤内など腰の動きで変化する、脚へ広がる、動作と関係しにくい痛み整形外科以外の診療科が必要な場合もあります

股関節内と周辺組織の症状は重なるため、痛む場所や一つの検査だけで自己診断することはできません。症状の経過、動作、圧痛、可動域、筋力、神経症状、医療機関での検査を合わせて判断します。

変形性股関節症で起こりやすい症状

股関節内の軟骨や関節唇と関節周辺の筋肉、腱、滑液包の違い

変形性股関節症は、股関節の関節軟骨や骨に変化が生じ、痛みや動かしづらさが現れる状態です。日本では、発育性股関節形成不全や寛骨臼形成不全など、もともとの股関節の形が関係する場合があります。

  • 立ち上がりや歩き始めに鼠径部が痛む
  • 長時間歩く、立ち続けると痛みや疲れが増える
  • 靴下を履く、爪を切る、和式動作が難しくなる
  • 階段や車の乗り降りがつらい
  • 股関節を曲げる、開く、回す範囲が狭くなる
  • 進行すると安静時や夜間にも痛みを感じる場合がある

診断は医療機関で行います。問診、診察、股関節の可動域、X線画像などを確認し、必要に応じてCTやMRIなどが用いられます。

変形や画像所見を否定する必要はありません。一方で、画像だけで現在の痛み、歩行能力、生活上の支障がすべて決まるわけでもありません。当院では診断内容を尊重しながら、筋肉、関節周辺、歩行、生活上の負担など、整体の範囲で確認できる要素が残っているかを見ます。

整体で関節の変形を元の形へ戻すことや、手術が必要かどうかを判断することはできません。医療機関の方針を確認しながら、患者様が行いたい生活動作を支えやすくすることを目指します。

股関節インピンジメント・関節唇損傷について

股関節インピンジメントは、股関節を深く曲げる、内側へ回すなどの動きで、大腿骨側と寛骨臼側が接触しやすくなる状態を指します。関節唇損傷、寛骨臼形成不全、股関節の不安定性などを含む非関節症性の股関節内痛は、症状や身体所見が重なることがあります。

  • 鼠径部や股関節前面の痛み
  • 深くしゃがむ、低い椅子、車の乗り降りで痛む
  • 方向転換やスポーツ動作で痛む
  • 股関節が引っかかる、詰まる、ロックするように感じる
  • クリック音と痛みが一緒に現れる

音が鳴るだけで関節唇損傷とは限りません。また、痛みを再現する動作があっても、それだけで診断することはできません。症状が続く、ロック感がある、スポーツや日常生活へ強く影響する場合は、整形外科で相談してください。

股関節外側の痛みと臀筋腱・滑液包の関係

股関節外側の痛みは、大転子部痛症候群として扱われることがあります。中殿筋・小殿筋の腱、滑液包、周辺組織などが関係し、横向き、片脚荷重、階段、長時間歩行で痛みが増える場合があります。

外側が痛む方全員に、中殿筋の強い筋力トレーニングが適するわけではありません。痛みが強い時に横向きで脚を上げ続けると、外側の圧迫や腱への負担が増える場合があります。

圧痛、片脚立ち、階段、歩行、股関節と腰の動き、筋力と持久力を確認し、負荷量を調整しながら運動を選びます。

股関節周辺の筋肉を「硬い・弱い」だけで分けない理由

腸腰筋、内転筋、臀筋群、深層外旋筋、大腿筋膜張筋など股関節周辺の筋肉の位置

腸腰筋

股関節を曲げ、歩行で脚を前へ運ぶことに関係します。前面の痛みがあるからといって、必ず硬く短くなっているとは限りません。痛みによって使い方が変わる場合もあります。

内転筋群

脚を内側へ動かし、歩行や方向転換で骨盤と大腿部を支えます。鼠径部に近い付着部へ負担がかかることがありますが、強く伸ばせば解決するとは限りません。

大殿筋・中殿筋・小殿筋

立ち上がり、階段、歩行、片脚支持に関係します。最大筋力だけでなく、長く支える持久力、動き始めるタイミング、体幹や膝との協調性も重要です。

深層外旋筋

股関節の後方で大腿骨頭の動きを支え、回旋に関係します。臀部深部の痛みと重なることがありますが、臀部痛をすべて深層外旋筋の問題とは判断できません。

大腿筋膜張筋・腸脛靱帯周辺

股関節外側から大腿部の外側へつながり、歩行や片脚支持に関係します。外側が張るからといって、強くローラーを当て続けると症状が増える場合があります。

筋肉の状態は、硬さだけでなく、筋力、持久力、協調性、可動域、痛みによる筋出力の抑制、動作のタイミング、生活での使用量を合わせて確認します。

腰椎・骨盤・膝・足部との動作分担

腰椎、骨盤、股関節、膝、足部が歩行や立ち上がりで動作を分担する図

腰椎

前屈、後屈、回旋で股関節の動きを補う場合があります。股関節を曲げにくい方が、靴下や立ち上がりで腰を多く丸めることがあります。

骨盤

左右の股関節をつなぎ、上半身と下肢の間で力を伝えます。骨盤前傾・後傾や左右差があることだけで、痛みの原因とは判断しません。

立ち上がりや階段で股関節と一緒に曲げ伸ばしを行います。股関節をかばって膝へ体重を逃がす場合も、膝の痛みをかばって股関節が働きすぎる場合もあります。

足関節・足部

地面から受ける力を調整し、重心を前へ運びます。足首が動きにくい、足部で支えにくい状態では、股関節や体幹で動作を補うことがあります。

どこか一か所を正しい位置へ固定するのではなく、患者様が困っている動作の中で、どの部位が働きすぎ、どの部位が参加しにくいかを確認します。

仕事・家事・育児・スポーツへの順応

身体は、仕事、家事、利き脚、スポーツ、過去の痛みなどに合わせて、使いやすい姿勢や動作へ順応します。左右差や特定の筋肉の発達が、その人の活動に必要な場合もあります。

  • 立ち仕事で、同じ脚へ体重を乗せる時間が長い
  • デスクワークで、股関節を曲げた姿勢が長く続く
  • 家事や育児で、中腰や片側で荷物を持つ動作を繰り返す
  • 運転で、股関節を曲げたままペダル操作を続ける
  • スポーツで、切り返し、キック、深い屈曲を繰り返す
  • 痛みをかばって歩幅、歩行速度、体重移動が変わる

非対称であること自体を悪いとは判断しません。痛み、動作制限、圧痛、疲労の蓄積、生活上の支障がある場合に、必要な順応を残しながら余分な負担を減らします。

医療機関では、症状に応じて診察と画像検査を行います

股関節痛に対して医療機関で行われる診察、X線、MRI、CT、超音波検査の概要

問診・診察

痛む場所、発症時期、外傷の有無、荷重との関係、安静時痛、夜間痛、発熱、既往歴などを確認します。可動域、歩行、筋力、感覚、痛みを誘発する動作なども診察します。

X線検査

慢性的な股関節痛の初期画像検査として、骨盤や股関節のX線検査が用いられます。骨折、関節裂隙、骨棘、骨の形、変形などを確認します。

MRI検査

関節唇、軟骨、腱、筋肉、骨髄、大腿骨頭壊死、X線では確認しにくい骨折などが疑われる場合に検討されます。必要性は医師が症状と診察から判断します。

CT検査

骨の形や複雑な骨折などを詳しく確認するために用いられる場合があります。

超音波検査

腱、筋肉、滑液包など、関節周辺の軟部組織を確認する際に用いられることがあります。

血液検査など

感染症、炎症性疾患、内科的な病気が疑われる場合には、血液検査やほかの検査が必要になることがあります。

画像所見と症状は、同じ情報ではありません

X線やMRIで確認される変形、関節唇の変化、腱の変化などは重要な情報です。しかし、画像所見だけで、痛みの強さ、歩ける距離、階段や仕事への支障まで決まるわけではありません。

反対に、画像で大きな変化が確認されなくても、筋肉や腱、動作、負荷量などに関係して痛みが続く場合があります。

画像所見 + 症状の経過 + 荷重 + 可動域 + 筋力・感覚 + 生活への影響

複数の情報を合わせて、医師の診断や、整体施術を組み立てるための身体評価を行います。当院では画像所見を否定せず、診断名、医師から説明された内容、運動や施術の制限を確認します。

股関節痛に似た症状を起こす状態

状態主に見られる特徴の一例確認先
変形性股関節症鼠径部痛、立ち上がり・歩き始めの痛み、可動域制限、歩行や靴下動作の支障整形外科
股関節インピンジメント・関節唇損傷など深い屈曲や回旋での鼠径部痛、引っかかり、ロック感整形外科
大転子部痛症候群股関節外側の圧痛、横向き、階段、片脚荷重での痛み整形外科または身体評価
腰椎・神経に関連する症状腰から臀部・脚への痛みやしびれ、感覚低下、筋力低下整形外科を優先
仙腸関節・臀部周辺骨盤後面や臀部の痛み、立ち上がり、寝返り、片脚荷重で変化整形外科または身体評価
大腿骨頸部骨折など転倒後の強い股関節痛、立てない、脚へ体重をかけられない救急・整形外科
大腿骨頭壊死比較的急に始まる股関節痛や跛行。ステロイド使用歴などが確認材料になる場合がある整形外科
感染・炎症性疾患発熱、腫れ、熱感、安静時痛、強いこわばり、全身症状医療機関を優先
腹部・鼠径部・骨盤内の状態腹痛、鼠径部の腫れ、吐き気、排尿症状、婦人科症状などを伴う症状に応じた医療機関

この表は自己診断のためのものではありません。複数の状態が重なる場合もあるため、症状が強い、長引く、進行する場合は医療機関で確認してください。

このような股関節痛は、整体やセルフケアより医療機関を優先してください

股関節痛で救急対応または早めの医療機関受診を優先する症状の判断フロー

股関節痛の多くが重大な病気を意味するわけではありません。しかし、次の症状がある場合は、ストレッチ、筋力トレーニング、整体を続ける前に医療機関へ相談してください。

救急要請を含め、速やかな対応が必要な症状

  • 転倒、事故、スポーツなどの後に強い痛みがあり、立てない、歩けない、脚へ体重をかけられない
  • 脚が明らかに短く見える、股関節が不自然な位置にある
  • 突然の激しい股関節痛に、発熱、悪寒、強い倦怠感を伴う
  • 股関節周辺が赤く腫れ、熱を持ち、動かせない
  • 会陰部の感覚低下、急な排尿・排便の異常、両脚の筋力低下がある
  • ふくらはぎの腫れ、熱感、痛みに、息苦しさや胸痛を伴う

早めに整形外科などへ相談したい症状・背景

  • 安静時や夜間にも強い痛みが続く
  • 原因不明の体重減少、発熱、食欲低下、強い倦怠感がある
  • 脚の筋力低下、感覚低下、つまずきが進んでいる
  • がん、感染症、骨粗しょう症、大腿骨頭壊死などの既往がある
  • 長期または大量のステロイド使用歴がある
  • 腹痛、鼠径部の腫れ、吐き気、排尿症状などを伴う
  • 妊娠中または産後で、通常とは異なる強い痛みや全身症状がある
  • 子どもや成長期の方に急な股関節痛、歩行異常、発熱がある
  • 症状が日ごとに悪化し、歩ける距離や日常動作が急速に低下している

判断に迷う場合も、まず医療機関へ相談してください。診断や画像検査が必要な状態を、整体だけで判断・施術することはありません。

医療機関と整体では、確認する役割が異なります

診断や画像検査を行う医療機関と動作や身体的負担を確認する整体の役割の違い
医療機関墨東メディカル整体院
主な役割病気や外傷の診断、緊急性の確認整体施術を組み立てるための身体的な負担の評価
確認する内容診察、反射、筋力、感覚、血液検査、X線、MRI、CTなど問診、姿勢、動作、可動域、圧痛、筋肉・腱、生活背景、三層の連動など
主な対応薬、注射、リハビリ、手術などの医療徒手施術、運動、動作指導、生活上の負荷調整
判断医学的な診断と治療方針整体施術を行うための総合評価と再評価

医療機関と整体は、どちらか一方を選んで対立させるものではありません。医療機関で病気や外傷、関節内の状態を確認したうえで、筋肉、関節周辺、歩行、生活上の身体的負担へ整体で取り組むこともできます。

すでに診断や画像検査を受けている方は、診断名、画像所見、医師から説明された内容、運動や施術の制限をお知らせください。

三層重心連動構造から股関節痛を確認する考え方

頭部、胸郭・肩甲帯、骨盤が背骨を介して股関節への荷重を補正する三層重心連動構造の図

墨東メディカル整体院では、身体を「頭部」「胸郭・肩甲帯」「骨盤」の三つの領域として捉え、背骨を介して姿勢と動作を補い合う関係を確認しています。これを三層重心連動構造と呼んでいます。

股関節痛では骨盤と股関節を中心に確認しますが、骨盤を身体の唯一の土台や、股関節痛の単一原因とは考えません。

頭部

歩行中に視線と頭の位置を保つため、体幹や骨盤、下肢がどのように位置を補正しているかを確認します。

胸郭・肩甲帯

胸郭が左右または前後へ偏る、腕や荷物を片側で支えるなどによって、片側の股関節へ荷重が集中していないかを見ます。呼吸と体幹の支え方も確認します。

骨盤

腰仙部、骨盤、股関節、膝、足部との接続を確認し、立つ、歩く、方向を変える動作で、股関節がどのような役割を担っているかを見ます。

股関節の動きにくさを腰や骨盤が補う場合もあれば、胸郭や足部の動きにくさを股関節が補う場合もあります。また、股関節痛をかばうことで歩幅や歩行速度が変わり、反対側の下肢、腰、胸郭へ負担が広がることがあります。

三層重心連動構造は、股関節の疾患を診断したり、痛みの原因を証明したりする医学理論ではありません。問診、動作、触診、患者様の感覚などを整理し、施術を組み立てるために当院が用いている臨床上の評価モデルです。

墨東メディカル整体院で確認する項目

  • 患者様が何に最も困っているのか
  • 歩行、立ち上がり、階段、睡眠、家事、仕事のどれに支障があるか
  • 痛む場所が鼠径部、外側、臀部、太もものどこか
  • いつから、急に始まったか、徐々に始まったか
  • 転倒、事故、スポーツなどの外傷があったか
  • 体重をかけた時と、脚を動かした時の違い
  • 動作開始時、動作中、動作後のどこで痛むか
  • 朝、日中、夜間の症状
  • 腰痛、脚の痛み・しびれ、筋力や感覚の変化
  • 過去の診断、画像検査、手術歴
  • 自然に立った時の頭部、胸郭、骨盤、足部の位置
  • 股関節の屈曲、伸展、外転、内転、内旋、外旋
  • 腰椎、膝、足関節、足部の動き
  • 臀部、鼠径部、大腿部、腰部の筋肉・腱と圧痛
  • 圧痛と患者様本人が普段感じる痛みの一致
  • 立ち上がり、しゃがむ、片脚立ち、階段、歩行、方向転換
  • 靴下、脚を組む、車へ乗るなど生活に近い動作
  • 仕事、家事、育児、運転、睡眠環境、靴、椅子、作業台
  • 股関節をかばって腰、膝、反対側へ負担が広がっていないか
  • 施術前後に同じ条件で動作を再評価した時の変化

可動域が狭いことや左右差があることだけで、施術対象とは判断しません。痛み、生活上の支障、動作、圧痛、患者様の感覚、身体全体の連動を合わせて優先順位を決めます。

施術と運動は、身体の状態に合わせて組み合わせます

STEP 1 負担が集中している筋肉・軟部組織を確認する

股関節周辺、臀部、腰部、大腿部などを確認し、過剰に緊張し、痛みや動作へ影響している部位へ徒手施術を行います。硬い場所をすべてゆるめるのではなく、圧痛、患者様の感覚、動作との一致を重視します。

STEP 2 関節と組織の動きやすさを整える

股関節だけでなく、腰椎、骨盤、膝、足部など、患者様が困っている動作に必要な部位を確認します。関節を無理に広げたり、痛みを我慢して可動域を増やしたりすることは目的にしません。

STEP 3 必要な筋力・持久力・協調性を補う

中殿筋や腸腰筋など一つの筋肉だけに限定せず、立ち上がり、片脚支持、歩行、階段に必要な力とタイミングを状態に合わせて練習します。

STEP 4 生活で繰り返す負担を調整する

歩く距離、階段、座る時間、仕事、家事、荷物、靴、睡眠姿勢などを確認し、患者様が無理なく継続できる方法を一緒に考えます。

目標は、理想姿勢や完全な左右対称ではありません。仕事、家事、旅行、趣味など、患者様が望む生活を続けやすい身体を目指します。

股関節痛で安全に行いやすいセルフケア

呼吸と足首運動、股関節を小さく動かす運動、短時間歩行を示した股関節痛のセルフケア

股関節痛の方全員に共通するストレッチや筋力トレーニングはありません。次の内容は、外傷、発熱、荷重不能、強い夜間痛などがなく、動かすことで症状が増えない方が行う一般的な例です。

STEP 1 呼吸と足首運動から始める

  1. 椅子へ座る、または仰向けで楽な姿勢になります
  2. 肩の力を抜き、ゆっくり3〜5呼吸します
  3. 足首を痛みのない範囲で上下へ10回程度動かします
  4. 股関節の痛みが増えないことを確認します

STEP 2 股関節を小さく動かす

  1. 仰向けで両膝を立てます
  2. 片方の踵を床につけたまま、膝を少し伸ばして戻します
  3. 引っかかりや痛みがない範囲で5回程度行います
  4. 深く曲げる、強く開く、勢いをつける動きは避けます

STEP 3 短時間の歩行や姿勢の切り替え

  1. 机や壁へ手を添えてゆっくり立ちます
  2. 室内や平らな場所を1〜5分程度、無理のない速度で歩きます
  3. 一度に長く行わず、短い時間へ分けます
  4. 歩行後に痛みが長く増える場合は、時間や距離を減らします

セルフケアを中止して相談する目安

  • 鼠径部、外側、臀部の痛みが明らかに強くなる
  • 引っかかりやロック感が増える
  • 脚へ体重をかけにくくなる
  • しびれの範囲が広がる、脚に力が入りにくくなる
  • 運動後も症状の増加が長く続く
  • 発熱、腫れ、安静時痛などが現れる

痛みを我慢して続けることが、良い運動とは限りません。自分に合う運動が分からない場合や、診断を受けている場合は、医師や担当者へ確認してください。

日常生活で見直せる股関節への負担

長時間座り続けない

低い椅子や深く沈むソファでは、股関節を深く曲げる時間が長くなります。痛みがある時は少し高い椅子を使い、30分から1時間程度を目安に姿勢を変えます。

階段と歩行量を一度に増やさない

調子が良い日に長距離を歩き、その後数日痛みが続く場合は、一回の距離を減らし、回数へ分けます。痛みが出る直前まで繰り返す必要はありません。

横向きで外側が痛む場合は圧迫を減らす

痛い側を下にして寝ることや、上側の膝が内側へ落ちる姿勢で外側が痛む場合は、膝の間へ枕やクッションを入れて股関節の位置を調整します。

靴下や爪切りは姿勢を工夫する

股関節を深く曲げると痛む場合は、足台を使う、椅子を高くする、脚を無理に組まないなど、必要な角度を減らします。

片側で荷物を持ち続けない

買い物袋、仕事道具、子どもの抱っこなどで片側荷重が続く場合は、持つ側を変える、荷物を分ける、カートを使うなど、現実的に続けられる方法を選びます。

自己流で避けたい股関節痛への対処

  • 鼠径部が痛い状態で、股関節前面を強く伸ばし続ける
  • 痛みや引っかかりを我慢して、深い開脚やスクワットを行う
  • 外側が痛い状態で、横向きの脚上げを大量に繰り返す
  • 中殿筋、腸腰筋、内転筋など一つの筋肉だけを原因と決める
  • 硬いボールや器具を鼠径部、股関節外側へ強く押し当てる
  • 股関節を勢いよく回し、音を鳴らすことを繰り返す
  • 歩けば良くなると考え、痛みが増えても長距離歩行を続ける
  • 痛いからといって、長期間まったく脚へ体重をかけない
  • 変形や画像所見だけを理由に、必要な日常動作まで避け続ける
  • 医療機関を優先する症状があるのに、整体やセルフケアだけで様子を見る

ストレッチ、筋力トレーニング、ウォーキングが必要な方もいます。しかし、方法と負荷量が身体の状態に合っていることが重要です。

股関節痛についてよくある質問

股関節痛は病名ですか?

股関節痛は病名ではなく、鼠径部、股関節外側、臀部、太ももなどに感じる痛みや動かしづらさをまとめた呼び方です。関節内、筋肉・腱、腰椎・神経、内科的な状態など異なる原因が含まれます。

鼠径部が痛ければ、股関節の問題ですか?

股関節内の状態で鼠径部に痛みを感じることはありますが、腸腰筋や内転筋、鼠径ヘルニア、腹部・骨盤内の状態などが関係する場合もあります。痛む場所だけでは判断できません。

股関節外側が横向きで痛むのは、滑液包炎ですか?

滑液包だけでなく、中殿筋・小殿筋の腱などが関係する場合があります。大転子部痛症候群として複数の組織を確認します。発熱、腫れ、強い安静時痛がある場合は医療機関を優先してください。

変形性股関節症と診断されたら、必ず手術になりますか?

画像所見、痛み、生活上の支障、保存的な対応の経過などによって医師が判断します。診断されたことだけで、直ちに手術が決まるわけではありません。主治医から現在の段階と選択肢の説明を受けてください。

画像で変形があると言われたら、痛みはなくなりませんか?

変形は重要な情報ですが、痛みや生活上の支障は画像だけで決まりません。医療機関の方針を確認しながら、筋肉、関節周辺、動作、生活上の負荷など調整できる要素へ取り組む場合があります。

股関節の引っかかりや音は問題ですか?

音だけで病気とは限りません。しかし、痛み、ロック感、可動域制限、動作の中断を伴う場合は、股関節内の状態を整形外科で確認してください。

股関節痛にはストレッチと筋トレのどちらが必要ですか?

身体の状態によって異なります。可動域、筋力、持久力、協調性、痛みによる抑制、痛む場所、生活動作を確認し、必要な方法を選びます。強く伸ばすことや、重い負荷で鍛えることが先とは限りません。

中殿筋を鍛えれば股関節痛は改善しますか?

中殿筋が重要な場合はありますが、股関節痛の原因を中殿筋だけで説明することはできません。外側痛が強い時には運動方法によって負担が増える場合もあるため、痛みの反応を確認します。

歩いた方がよいですか?安静にした方がよいですか?

外傷や医療機関を優先する症状がない場合でも、痛みを我慢した長距離歩行は避けます。症状が増えない時間と距離から始め、歩行後の反応を見ながら調整します。急に体重をかけられなくなった場合は医療機関へ相談してください。

股関節痛と坐骨神経痛はどう違いますか?

股関節痛は鼠径部、外側、臀部などの局所症状として現れることがあります。坐骨神経痛は、臀部から太もも、ふくらはぎ、足へ広がる痛みやしびれを表す症状名です。ただし臀部痛など重なる症状もあるため、腰の動き、神経所見、股関節動作を合わせて確認します。

整体へ行く前に整形外科を受診した方がよいですか?

外傷後の強い痛み、体重をかけられない、発熱や腫れ、進行する筋力低下、強い安静時痛・夜間痛などがある場合は整形外科を優先してください。慢性的な身体的負担について、筋肉、関節周辺、姿勢、動作を確認したい場合は当院へご相談いただけます。

股関節痛という症状名だけで、今の身体を決めつけないことが大切です

股関節周辺の痛みは、関節内、筋肉や腱、腰椎、神経、仙腸関節、膝、腹部・骨盤内など、さまざまな状態で現れます。

まず医療機関で確認すべき症状を区別し、そのうえで画像所見、症状の経過、荷重、股関節の動き、歩行、生活上の負担を合わせて考える必要があります。

墨東メディカル整体院では、股関節痛という名前だけで施術方法を決めません。患者様が困っている歩行、立ち上がり、階段、靴下、睡眠などを確認し、股関節だけでなく、腰椎、骨盤、膝、足部、胸郭がどのように動作を補っているかを評価します。

当院で行う問診、検査、施術の考え方、初回体験、予約方法については、股関節痛の集客用ページをご覧ください。

股関節痛の検査・施術・予約案内

電話番号:080-6736-2330

症状の判断に迷う場合や、急な外傷、発熱、荷重不能、神経症状、内科症状がある場合は、整体ではなく医療機関へご相談ください。

参考にした主な公的資料・医学文献

  1. 日本整形外科学会「変形性股関節症」
  2. 日本整形外科学会「大腿骨頸部骨折」
  3. 日本整形外科学会「特発性大腿骨頭壊死症」
  4. ACR Appropriateness Criteria: Chronic Hip Pain
  5. ACR Appropriateness Criteria: Acute Hip Pain
  6. NICE guideline NG226: Osteoarthritis in over 16s: diagnosis and management
  7. AAOS Clinical Practice Guideline: Management of Osteoarthritis of the Hip(2023)
  8. Hip Pain and Movement Dysfunction Associated With Nonarthritic Hip Joint Pain: A Revision(JOSPT, 2023)
  9. Exercise for Greater Trochanteric Pain Syndrome: Systematic Review and Meta-analysis(2024)

本ページについて

本ページは医学的な診断や個別の治療方針を示すものではありません。股関節痛に関する一般的な医学情報と、墨東メディカル整体院が施術を組み立てる際の臨床的な見方を区別して記載しています。病気の診断、画像診断、投薬、注射、手術などは医療機関で行われます。