腰と股関節が同時に痛むと、「腰が悪いのか、股関節が悪いのか」「どちらを先に見ればよいのか」と迷いやすくなります。腰の横からお尻、鼠径部(脚の付け根)にかけて痛みが広がると、痛む場所だけでは判断しにくいこともあります。
腰と股関節が同時に痛む場合、痛む場所だけで「腰が原因」「股関節が原因」と決めることはできません。腰椎に関係する症状が臀部や脚へ広がることもあれば、股関節の問題で鼠径部だけでなく臀部や太もも、膝周辺まで症状を感じることもあります。
この記事の結論
大切なのは、どこが痛いかだけでなく、どの動作で症状が出るか、腰と股関節をそれぞれ動かしたときにどう変わるか、しびれや筋力低下など医学的な確認を優先した方がよいサインがないかを合わせて見ることです。

腰と股関節が同時に痛むことはある?
腰と股関節の症状が同時に現れることはあります。腰と股関節は骨盤を介して近い位置にあり、立つ・座る・歩く・かがむといった日常動作では両方を使います。また、腰椎や神経に関係する症状と、股関節やその周囲に関係する症状は、感じる場所が重なることがあります。
そのため、「腰も股関節も痛い」という場合は、最初からどちらか一方だけに決めるのではなく、次のように整理して考えます。
- 腰の動きや腰椎・神経に関係する要素の影響が比較的大きい
- 股関節の動きや股関節周囲の状態の影響が比較的大きい
- 腰と股関節の両方を確認する必要がある
- 腰・股関節以外の問題も含めて医療機関で確認した方がよい
日本整形外科学会でも、腰痛には腰そのものに由来するものだけでなく、変形性股関節症など腰以外の整形外科疾患が関係する場合があると案内しています。日本整形外科学会「腰痛」

痛む場所だけでは腰・股関節を見分けられない
痛む場所は大切な情報ですが、その場所だけで症状の発生源を確定することはできません。腰、臀部、鼠径部、股関節外側、太もも、膝周辺などは、複数の問題で症状を感じることがあるためです。
鼠径部が痛む場合
鼠径部は股関節に関係する症状が出やすい場所の一つです。立ち上がり、歩き始め、靴下を履く、車へ乗り降りするなど、股関節を曲げたり体重をかけたりする動作で痛みが出る場合は、股関節を確認する手がかりになります。
ただし、鼠径部が痛いからといって、必ず股関節内の病変が原因とは限りません。股関節周囲の筋肉や腱、腹部・骨盤内の状態なども含めて確認が必要な場合があります。鼠径部痛の詳しい整理は、股関節の付け根・鼠径部が痛むときの見分け方をご覧ください。
お尻・腰との境目が痛む場合
臀部の痛みも、腰椎や神経に関係する症状、股関節やその周囲、仙腸関節周辺、筋肉や腱など複数の可能性があります。「お尻が痛いから坐骨神経痛」「臀部だから股関節ではない」と場所だけで決めることはできません。
太もも・膝まで痛む場合
股関節に関係する痛みを太ももや膝周辺まで感じる場合があります。一方で、腰椎や神経に関係する症状でも臀部から脚へ痛みやしびれが広がることがあります。そのため、膝や脚まで痛いという情報だけで「腰から来ている」と決めず、動作や神経症状を合わせて確認します。
腰から症状が広がる場合に確認したいこと
腰の関与を考えるときは、腰を動かしたときに腰・臀部・脚の症状がどう変化するかを確認します。前かがみ、腰を反らす、横へ倒す、ひねるといった動きで、痛む場所や強さが変わるかを見ます。
- 腰を前へ曲げたときに症状がどう変わるか
- 腰を反らしたときに症状がどう変わるか
- 左右へ倒す・ひねる動きで差があるか
- 腰の動きに伴って臀部や脚の症状も変化するか
- しびれ、感覚の変化、筋力低下がないか
ここで注意したいのは、前屈で痛いから椎間板、腰を反らすと痛いから脊柱管狭窄症というように、一つの動きだけで病名を決めないことです。動作はあくまで確認材料の一つとして扱います。
長く続く腰痛そのものについては、慢性腰痛の整体・相談ページで詳しく整理しています。
股関節が症状に関係する場合に確認したいこと
股関節の関与を考えるときは、股関節を曲げる・伸ばす・内外へ回すなどの動きで症状がどう変わるかを確認します。左右の動く範囲や、どの方向で鼠径部・臀部・外側などに症状を感じるかも手がかりになります。
- 股関節を曲げたとき
- 脚を後ろへ伸ばしたとき
- 内側・外側へ回したとき
- 脚を開く・閉じる動き
- 左右で動く範囲や症状の出方に違いがあるか
股関節の可動域が狭いことは重要な所見の一つですが、動きにくいから変形性股関節症と決めることはできません。痛みの経過、日常動作、医療機関での診察や画像検査などと合わせて判断されます。
股関節痛全般については、股関節痛の整体・相談ページも参考にしてください。
腰と股関節の両方が関与することもある
腰と股関節は、どちらか一方だけではなく、両方を確認した方がよい場合があります。医学文献では、腰椎と股関節の病態が同時にあり、症状が重なって判断が難しくなる状態が「Hip-spine syndrome」として議論されています。
これは「股関節が硬いから必ず腰が痛くなる」「腰が硬いから必ず股関節が痛くなる」という意味ではありません。人は立つ・歩く・かがむ動作をするとき、腰、骨盤、股関節、膝、足部、体幹などを使って動きを分担しています。その分担は症状や動作条件によって変わります。
そのため、腰を施術したあとに股関節周辺の症状が変わることも、股関節への介入後に腰の症状が変わることもあります。ただし、その変化だけで「原因は腰だった」「原因は股関節だった」と確定するのではなく、見立てを更新するための情報として扱います。
腰と股関節の症状の重なりについては、近年のレビューでも、股関節の可動域、歩行、神経学的所見、画像所見などを組み合わせて確認する重要性が指摘されています。PubMed:腰椎由来症状と股関節症の鑑別に関する2026年レビュー

「どの動作で痛いか」を確認する
腰と股関節を考えるうえで、痛む場所と同じくらい重要なのが「どの動作で症状が出るか」です。実際に困っている動作を確認すると、腰と股関節のどちらを詳しく見るべきか、両方を見るべきかを整理しやすくなります。
前かがみ・腰を動かしたとき
床の物を取る、洗面台で前かがみになる、身体をひねるなどで症状が出る場合は、実際に近い動作を行い、腰と股関節がどのように動いているかを確認します。
見るのは「痛い・痛くない」だけではありません。動作の途中で痛いのか、深く曲げたところで痛いのか、戻すときに痛いのか、腰・臀部・鼠径部のどこへ症状が出るのかまで整理します。
立ち上がり・靴下・車の乗り降り
椅子から立つ、靴下を履く、車へ乗り降りするといった動作は、腰と股関節の両方を使います。例えば「靴下を履くと鼠径部が痛い」という情報は股関節を確認する手がかりになりますが、それだけで変形性股関節症などの病名を判断することはできません。
当院では、問診で「立ち上がると痛い」と聞くだけで終わらせず、必要に応じて実際に椅子から立ってもらいます。靴下なら靴下を履く動作に近い姿勢、車の乗り降りなら脚を持ち上げて身体を回す動きなど、症状が出る条件に近づけて確認します。
歩行・階段
歩くときや階段では、腰・骨盤・股関節・膝・足部が連続して動きます。何歩目から痛むのか、歩き始めだけか、長く歩くほどつらいのか、階段の上りと下りで違いがあるかなどを確認します。
歩行時と座位時で股関節痛の出方が違う場合については、歩くと痛い股関節と座ると痛い股関節の違いで詳しく整理しています。

しびれ・筋力低下がある場合
腰痛や臀部痛に加えて脚のしびれ、感覚の変化、筋力低下がある場合は、腰椎や神経に関係する状態の確認が重要になります。
- 臀部から太もも・ふくらはぎ・足先へ広がる痛みやしびれ
- 触った感覚が左右で違う
- 脚や足首、足の指へ力が入りにくい
- 症状の範囲が広がっている、または筋力低下が進んでいる
腰痛と脚のしびれが一緒にある場合の受診目安については、腰痛+足のしびれで医療機関を優先するサインをご確認ください。
医療機関を優先したい症状
腰と股関節が同時に痛む場合でも、次のような症状があるときは、腰か股関節かを自分で切り分けようとするより、医療機関での確認を優先してください。
- 転倒・事故など大きな外傷のあとから強く痛む
- 脚へ体重をかけることが難しい
- 症状が急激に悪化している
- 発熱を伴う
- 股関節周辺に強い腫れや熱感がある
- 安静にしていても非常に強い痛みが続く
- 脚の筋力低下が進んでいる
- 排尿・排便の異常がある
- 会陰部の感覚が鈍い、しびれる
日本整形外科学会でも、安静にしても軽くならない腰痛、悪化する症状、発熱、下肢のしびれや筋力低下、排尿に関する異常などがある場合は速やかな受診を勧めています。

画像所見だけで現在の痛みを決めない
X線やMRIなどの画像所見は重要な医学情報ですが、画像だけで現在感じている腰痛・股関節痛のすべてを単純に決めるものではありません。
例えば変形性股関節症では、問診や診察、可動域の確認、X線などを用いて医療機関で診断されます。日本整形外科学会では、立ち上がりや歩き始めの鼠径部痛、靴下や爪切りのしにくさ、長時間の立位・歩行のつらさなどが症状として挙げられています。日本整形外科学会「変形性股関節症」
医療機関で説明された変形や診断名は重要な情報として扱います。そのうえで、現在どの動作で症状が出るのか、腰・股関節の動きにどのような制限があるのか、筋肉や周囲組織の状態、生活上の負担などを合わせて確認します。
「病院でどこまで確認するのか」「医学的な確認後に整体では何を見るのか」を詳しく知りたい方は、股関節痛で整形外科と整体をどう使い分けるかも参考にしてください。
自分で確認するときのポイント
自宅で行う確認は、病名を決めるためではなく、受診や相談時に症状を具体的に伝えるために行うのがおすすめです。
- 腰と股関節のどちらが先に痛くなったか
- 痛む場所は腰、臀部、鼠径部、外側、太もも、膝のどこか
- 前かがみ、立ち上がり、靴下、車の乗り降りなど何をすると痛むか
- 歩き始めか、長く歩いたあとか
- 座っているときと立っているときで違いがあるか
- しびれ、感覚の変化、筋力低下がないか
- 医療機関で画像検査や診断を受けているか
なお、先に痛くなった方が必ず原因というわけではありません。経過は大切な参考情報ですが、動作や身体の確認と合わせて整理します。
墨東メディカル整体院では腰と股関節をどう確認する?
墨東メディカル整体院では、「腰が悪い」「股関節が悪い」と最初から一つに決めず、問診、腰と股関節それぞれの動き、実際に困っている生活動作を順番に確認します。

問診で症状の経過と困っている動作を確認
まず、腰と股関節のどちらが先に気になったか、いつから続いているか、どこが痛むか、何をすると症状が出るかを伺います。
- 座っているとき
- 椅子から立ち上がるとき
- 歩く・階段を使うとき
- 前かがみになるとき
- 靴下を履くとき
- 車へ乗り降りするとき
- 寝返りをするとき
- しびれや力の入りにくさがあるか
整形外科などの受診歴、画像検査、説明された診断名がある場合は、その内容も大切な情報として確認します。
腰と股関節をそれぞれ動かして確認
腰では前屈・後屈・側屈・回旋、股関節では屈曲・伸展・内旋・外旋・外転などを必要に応じて確認します。動く範囲だけではなく、その動きでいつもの症状が再現されるか、症状の場所が変わるかも見ます。
さらに必要に応じて、膝・足部・体幹の動きや筋力なども確認します。当院では三層重心連動構造の考え方も用い、頭部・胸郭肩甲帯・骨盤を含め、動作の中で身体各部がどのように役割を分担しているかを見ます。
ただし、姿勢や三層の位置関係だけを腰痛・股関節痛の原因とは決めません。症状、可動域、生活動作、患者様本人の感覚などを合わせて見立てます。
実際に困っている生活動作を確認
身体をベッド上で動かす確認だけではなく、患者様が実際に困っている動作をできる範囲で再現します。立ち上がりがつらければ椅子から立つ、歩くと痛ければ実際に歩く、前かがみがつらければ前かがみになる、という形です。
生活動作を確認することで、「股関節を曲げたときだけなのか」「腰の動きも加わると症状が変わるのか」「身体の向きや荷重条件で変化するのか」など、施術前の基準を作ります。
確認結果から見立てを整理する
問診と身体確認をもとに、「腰の動きの影響が比較的大きそう」「股関節の動きの影響が比較的大きそう」「両方を確認する必要がある」「医療機関での確認を優先した方がよい」といった形で、現在の状態を整理します。
見立ては一度決めたら固定するものではありません。施術による変化や次回来院時の経過、生活の中での症状変化を見ながら更新します。
施術後は同じ動作で再評価する
見立てに応じて、腰・骨盤・股関節周囲の筋肉や関節、必要に応じて膝・足部・体幹などへ施術や運動を行います。施術する場所は一律ではなく、身体確認と現在の困りごとに合わせて選びます。
施術後は、最初に症状が出ていた同じ動作をもう一度行います。靴下で痛かった方は靴下に近い動作、立ち上がりで痛かった方は椅子から立つ、歩行で痛かった方は歩くなど、できるだけ同じ条件で変化を確認します。
例えば腰への介入後に股関節周辺の痛みが軽くなったとしても、「股関節痛の原因は腰だった」とは断定しません。反対に、股関節への介入で腰痛が変わった場合も同様です。どの介入に対して、どの症状や動作が変化したかを次の見立てに反映します。
施術直後の動きやすさだけでなく、その後の仕事・家事・外出など、患者様が実際に行いたい生活の中でどう変化しているかまで確認しながら改善を目指します。
まとめ|腰と股関節は痛む場所だけで決めない
腰と股関節が同時に痛む場合は、鼠径部だから股関節、臀部だから腰というように、痛む場所だけで決めることはできません。
- どこに症状を感じるか
- どの生活動作で症状が出るか
- 腰を動かしたときにどう変わるか
- 股関節を動かしたときにどう変わるか
- しびれ・感覚変化・筋力低下がないか
- 医療機関を優先した方がよいサインがないか
この順番で整理すると、腰と股関節のどちらか一方へ早い段階で決めつけるのではなく、現在の症状に必要な確認を進めやすくなります。
腰と股関節の両方を確認して、今の身体を整理します
腰と股関節の痛みは感じる場所が重なることがあり、痛む場所だけでは判断できません。まず医療的な確認を優先した方がよい状態がないかを確認し、腰と股関節をそれぞれ動かしたときの変化や、実際に困っている生活動作を整理することが大切です。
墨東メディカル整体院では、腰と股関節の両方を確認し、どの動作・どの身体条件で症状が変化するかを整理したうえで、必要な施術・運動・生活上の調整を組み合わせます。施術後は最初に症状が出ていた動作をもう一度確認し、見立てと改善計画を更新します。
初回限定体験は2回まで各2,980円(税込)です。
完全予約制/9:00〜21:00/初診最終受付19:00/不定休
施術中は電話に出られない場合があるため、LINEからのお問い合わせが便利です。



