4月より墨田区で診療再開!

整体院の資格について

目次

整体業に関する資格について

整体院が世の中に今たくさん増えてきています。
よくSNSで話題になっている事柄の一つとして「資格の有無」について
整骨院や整体院で院長を勤めて、その後開業している業界歴約20年の私が知識と経験から
今回は解説していきたいと思います。
資格というのは
・知識や技術の最低限の質の担保、
・危険性リスクの排除
に必要な安心要素だと思います。
この記事をお読みいただいて、その辺を理解したうえで皆様にあった整体が見つかることを願っております。

整体院は無資格で開業が可能ですか?

A.可能です。が制限があります!
そしてここがややこしくしている原因の一つです。
この後整体の種類とともに、なぜ無資格でも整体が開業できるのか
その根拠となっている部分と合わせて解説していきますが
そのためには次項の整体をするための資格と種類の内容が必要になりますので
そちらに移ります。

整体をするための資格と種類

整体には大きく分けて二つに分類されます。
それは
①症状改善を目的とした整体(医療類似行為)
②リラクゼーションや美容を目的とした整体(非医療類似行為)

です。
ここがごちゃ混ぜになってしまっていることが現状
患者さん(お客さん)からするとよくわからない状態になってしまっています。

①症状改善を目的とした整体(医療類似行為)

症状改善を目的とした徒手療法を行うためには単独で
医療行為、もしくは医療類似行為を行うための資格が必要になります。
そして以下の3つは、日本でそれらを認められている国家資格です。

医師(医療行為)

医師法(昭和23年法律第201号)第17条
まず、医師以外が医業を行ってはならないという規定です。

第17条
医師でなければ、医業をなしてはならない。

ポイント解説
ここでいう「医業」とは、病気や症状を診断・治療すること。
医師はあらゆる医療行為が含まれます。

柔道整復師(医療類似行為)

柔道整復師法(昭和45年5月29日法律第19号)
第2条(参考)
柔道整復師の業務範囲を定めた条文です。

第2条
柔道整復師は、打撲、捻挫その他これらに類する軟部組織損傷に対して、
非観血的療法を行うことを業とする。

ポイント解説

  • 柔道整復師も国家資格者であり、保険を使わないで自費診療としての慢性症状の症状改善を目的とした施術が可能。保険適用は怪我のみ

あん摩マッサージ指圧師(医療類似行為)

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律(昭和22年12月20日法律第217号)
(あはき法)第1条

国家資格を持つあはき師が、治療目的で施術を行えることを定めています。

第1条
この法律は、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の業務を定め、
もって国民の健康の保持に寄与することを目的とする。

第1条の2
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師は、
疾病の治療又は予防を目的として、あん摩、マッサージ、指圧、はり及びきゅうを業とすることができる。

ポイント解説

  • 疾病の「治療」や「改善」、「予防」を目的として施術できるのは国家資格者のみ。
  • 鍼灸師は鍼灸の施術のみ症状改善を目的に施術ができ、徒手療法は不可

②リラクゼーションや美容を目的とした整体なら可能(非医療類似行為)

次に○○改善や腰痛整体など症状を改善するために疾患名や疾病名を使ってはいけない(医療類似行為にあたるため)
が、リラクゼーション目的、美容目的、ほぐされて癒される目的、海外では認められていても日本では医療効果として認められていない民間療法も整体として開業することができます。
これは以前の判例をもとに、なし崩し的に認められているもので、
そちらはこの後の「なぜ無資格でも整体を開業できるのか?」でまた詳しく解説していきます。

理学療法士(PT)(医師の指導がなければ医療類似行為ができない)

理学療法士及び作業療法士法(昭和40年6月29日法律第137号)
第2条(定義)

この法律において「理学療法士」とは、医師の指示の下に、
身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、
治療体操その他の運動を行わせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることを業とする者をいう。

第14条(医師の指示)

理学療法士は、医師の指示の下でなければ、その業務を行ってはならない。

理学療法士が症状改善を目的とした整体を行うのは違法性があります。
理学療法士は医療類似行為(症状の改善を目的とした施術)を行うためには「医師の指導の下」という条件が必須です。
国家資格を取る際に解剖学や生理学などの身体に対する知識などは持っていますが、
それを独立して単独で提供することを国から認められていません。
また医師との連携が必須のため「開業権」がありません。

ポイント解説

  • 理学療法士は「開業権」がない。
  • 医師の指導の下でなければ症状改善(医療類似行為)を目的とした整体施術も違法。
  • 無資格者と同じリラクゼーションであれば可能。

※2025年9月現在山形県のはりきゅうマッサージ治療院の方が、某理学療法士が施術する整体院グループに訴訟を起こしています。以下に抜粋した文章を記載します。

現在の山形地裁の見解

(1)本件整体院のスタッフは理学療法士の資格を保有している一方、あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師の免許を受けていないから、本件整体院は、医師の指示を受けずにする医業類似行為を業とすることはできない(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律12条、理学療法士及び作業療法士法15条2項)。そうすると、被告が、医師の指示を受けずに医業類似行為に該当する施術を行っている旨を本件整体院の広告に表示し、あるいはSNSへの投稿により情報発信することは、一般消費者に本件整体院の役務の内容を誤認させるものであって、品質等誤認表示(不正競争防止法2条1項20号)に当たる。


 そして、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律12条が無資格者による医業類似行為を禁止する趣旨は、人の生命や健康に危害が生じることを防止するとともに、国民が適時に適切な医療を受ける機会を失うことを防止するところにある。そうすると、特定の疾病又は症状の改善、解消又は緩和することを目的とする施術は、同条が禁止する医業類似行為に該当するというべきである。


以上によれば、被告が、本件整体院に関する広告やSNSへの投稿において、本件整体院の施術の目的、効果又は影響として、医師の指示を受けずに特定の疾病又は症状を解消、改善又は緩和する旨を表示している場合、当該表示は品質等誤認表示に当たる

民間資格(日本国で認定されていない資格)

民間資格というのは、企業や個人が勝手に作り、最短で1~2時間で資格証を発行してくれるところまであります。

国家資格は3~6年学校に通学し、資格によりますが90単位以上の単位を取得し、国家試験でその学力を審査し、合格した者のみ厚生労働省から認可が下りて初めて施術を行えます。
また国家資格は刑事罰を受けると免許を剥奪されますので、大きな犯罪を起こし罰せられたことがないという証明でもあります。
民間資格が国家資格に比べて重要視されないのは
「それってどのくらいが価値があるの?」
といったところが誰にもわからないからになります。
※もちろん経験豊富で素晴らしい方もいますが、それを担保するものではないということです。

無資格

基本的には現場での講習をしてそれの通りにやることで経験を積む人です。
某60分2,980円激安マッサージの求人を見ると
「未経験者歓迎!」
と書いてありびっくりしたのを覚えています。
民間資格同様、長年やっている方でうまい(気持ちの良い)方はいます。

なぜ無資格でも整体を開業できるのか?

医業類似行為通達(昭和35年7月29日 厚生省医務局長通知)

この通達が、整体やリラクゼーションが無資格で開業できる根拠として使われています。
正式名称は以下のとおりです。

「医業類似行為を業とする者の取締りに関する法律の施行について」
(昭和35年7月29日 医発第729号 厚生省医務局長通知)

原文抜粋

あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅう等の行為は、
人体に物理的刺激を加えてその機能に影響を及ぼすものであり、
その方法や強度いかんによっては、健康を害するおそれがある。
よって、これらを業として行う場合は、医師法第17条の規定に基づき、
無資格者がみだりに医業をなすことを禁止し、
また、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律の規定により、
必要な規制を行うこととする。

ただし、国民の健康を害するおそれがないと認められる程度の施術については、
特に資格を要しないものとする。

症状改善などの医療類似行為としての施術は違法です。
あくまでリラクゼーションの範囲であり、上記の通達の最後の
ただし、国民の健康を害するおそれがないと認められる程度の施術については、
特に資格を要しないものとする。
」という部分での開業が認められている現状です。

「国家資格があるということ」とは

ちゃんとした法整備がないこと、
過去の通達から拡大解釈して、なし崩し的に無免許でも整体が開業できてしまうこと。
今回の山形地裁の判決が決まれば、業界は大きく動くかもしれません。

中には、今までやってきたんだからとか、
経験もあるしお前よりうまいよとか、
患者さんは喜んでくれているとか、
そんなことをいう人がいますが、
違うんです。

自動車の普通免許を持っているから、
運転できるから、
交通ルールはわかるからといって、
大型特殊やタクシー(二種免許)を運転してよいとはならないのです。

これが整体における医療類似行為にあたります。

まとめ

  • 整体には症状改善を目的とした整体と、リラックスや美容を目的とした整体がある。
  • 医療類似行為(手技での症状改善)が認められているのは医師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師
  • 理学療法士、民間資格、無資格者は整体を開業できるが症状改善はやってはいけない。
  • 理学療法士は現在整体業を行っていることで訴訟を起こされている。

今はたくさんの整体が増えてきており、
内容も一般の人がわかりずらい名前やコンセプトのものが増えてきています。
もちろん色々な研究がなされることは発展としては良いことですし、
エビデンスを計りずらい東洋医学は、
統計学的に研究が進むので悪いことだけではありません。
ですが参入障壁が下がっている分、
安易に医療類似行為を素人がやっているせいで、
強制わいせつや事故によるトラブルが多発し、
整体そのものが怪しいものと思われてしまうことがとても悲しいです。

また自分たちで考えた民間資格を勝手に作り、
それをセミナー代を取って素人に布教するとんでもない集団も増えてきています。
YouTubeで問題になった「〇〇ショット」「ねっ〇〇とり」「〇〇無重力整体」「カイロプラクティック」など、
生徒に教える側が国家資格を持っていない、
ちゃんとした知識を担保されていないことも増えてきています。※2025現在

症状改善を目指して整体院を探す場合は医療類似行為のできる国家資格の有無を確認することをお勧めいたします。

墨東メディカル整体院は「柔道整復師」

私は国家資格 柔道整復師を取得しています。
非観血的療法(生体組織を切開せずに体外から患部にアプローチして治療を行う方法)を行うことが許可されています。

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